光の日

 今日は2月29日。
四年に一度しかない、幸村の誕生日。
──だというのに。
四日前幸村に頼まれた任務が予想以上に長引き、サスケは未だ九度山へ帰れずにいた。
あまつさえ雨まで降り出して最悪な案配だ。
「間に合う、かな…」
サスケは雨に濡れるのも構わずに九度山へと急いだ。
四年に一度、だから正確には幸村はまだ9歳ということになる。
自分よりガキだと、からかってやりたいのに。
何より、早く幸村に「おめでとう」って言いたいのに。
そして、贈り物は用意できなかったけれど、代わりに伝えたいことがあるのに。
日は既に落ちている。
サスケは足をはやめた。


雨の誕生日というのもなかなか風情があるもので。
一粒、また一粒と、絶えず空から落ちてくる様子に思わず見入ってしまう。
屋敷の縁側から見る雨はとても綺麗だ。
「サスケ、帰って来るかなぁ…」
十勇士(−1)の皆がいっぱい祝ってくれたというのに、それでも満足できない自分は我儘だろうか。
でも──
と、幸村は遠くを見やる。
サスケが傍にいないと意味がないんだ。
「ボクがサスケに用事を頼んだのが悪いんだけどさ…」
できることなら片時も離れたくない。
でもそんなことは許されないから。
せめて。
せめて自分が生まれたこの日くらいは、我儘を許して欲しい。
サスケの温もりを肌で感じていたい。
外にのばした脚が、雨で濡れる。
冷たい。
サスケも今、自分と同じことを感じているだろうか。
その時、視界に白い影が飛び込んで来た。

日が沈んでからずっと走り続けて、やっと屋敷が見えてきた。
少し目を凝らせば、縁側に座っている男の姿を確認できる。
「あのバカ…」
強く地面を蹴って、幸村の元へ。
「バカ‥風邪‥ひくぞ」
幸村の目の前に立って一言呟く。
「サスケ…」
雨の中差し出された手は、自分の頬にゆっくりと触れた。
暖かい。
「こっち来て、サスケ…」
その言葉に素直に従うと、思いっきり抱き締められた。
「ちょっ!?幸…っ」
「おかえりぃ──〜っ」
そう言うと、幸村はサスケを抱き締めたまま縁側に勢い良く寝転ぶ。
「ぅわっ!?幸村っ!?」
「…待ってたよ…サスケ」
耳元で囁く声に体中が熱くなる。
腕を立て、幸村との距離を少しだけつくる。
下から見上げる幸村の目に、貫かれる。
どこまでも深く、優しい目。
「おめでと‥幸村」
「サスケ…」
「幸村…好きだ」
伝えたかった、言葉。
「サ…」
それ以上幸村が何も言わないようにと、そっと口づける。
軽く触れるだけのつもりだったのに、素早く幸村に舌を絡めとられ、それは深いものへと変わる。
「…んっ」
深く捕らえられて、逃れることも叶わない。
「ボクも…サスケが大好きだよ…」
「幸村…」
「愛してる…誰よりも…」
それはまるで魔法の言葉のようにちょうど胸のあたりで溶けて、じんわりとした熱を帯びる。
額に口づけられて、また強く抱きよせられた。
「冷たくなっちゃったね…」
「これくらい平気だ…ってかお前が寒いだろ。放せよ。」
「やだぁー」
「ばっ!!」
「いいじゃない。ボクがサスケを暖めてあげる…そしたらサスケが…ボクを暖めて…」
「ゅき…っ…んんっ」
甘い口づけ。
永遠に値する一瞬。
「愛してる…」
「んっ…」
四年に一度の、幸村の誕生日。
それはサスケが生きる意味が、生まれた日。
だから。
この日くらいは我儘を許して欲しい。
幸村の温もりを、肌で感じていたい。
ずっと。
いつまでも。










***
んん、んー!?(汗)
これは実は去年の幸村さんの誕生日に書いたものです。
は、恥!!(赤面)
今年は29日なかったんですけどね;
は〜;
とにかく誕生日ニアピンおめでとうございます!(ニアピン!?)




2005.02.28UP

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