信じてた。
思いとか。
希望とか。





「サスケー。どうしたの?ぼーとしちゃって。」
外は雨。
宿の中。
俺と幸村にあてがわれた狭い部屋で幸村は言った。
「別に・・・。」
ざぁざぁと雨が降っている。
それは俺のナカのモヤモヤしたものをより一層大きくする。
「えー?だって、さっきから何も話さないじゃない?」
幸村が俺の顔を覗き込む。
俺は焦るように顔を背けた。
「もーそんなんだとぎゅ〜ってしちゃうぞー?」
言う前からもう抱きしめてるだろ。
そう思いつつも別段抵抗はしなかった。
大人しく幸村のおっきな腕に包まれたまま、俺は重い口を開いた。


「オレは──…、アイツの身代わりなのか?」

自分で言った言葉が重くのしかかる。
「アイツって・・・」
「猿飛・・・佐助・・」
今の俺と、同じ名前。
「あぁ・・・。」
体に回されていた手が力無く地に着いた。
ざぁざぁと煩い雨の音。
「オレは、アイツの身代わり?」
同じ十勇士。
同じ名前。
それが意味するもの。
「なぁ、どうなんだよ・・・?」
「サスケ・・・。」
泣き出しそうな自分に気づく。
気づかれないように下を向いた。
「オレ、ただの代用だったワケ?」
自然と震える声。
それでも精一杯に虚勢を張った。
・・・つもり。
「ボクは・・」
ざぁざぁ。
「ボクは・・・」
ざぁざぁ。
雨の音だけが響く。
そこに続く言葉が紡がれることはない。

お前のお得意の嘘で誤魔化せばいいじゃねぇか。
たった一言そんなことないよって、嘘を。
それを、オレは、信じてやるから。
・・・簡単だろ?


ざぁざぁ。
雨。
煩い。

「ごめんね、サスケ、ボクは・・・」

嘘でもいいから───



「                       」





あぁ。




ざぁざぁと雨が降っている。
いや、これはオレのナカに降る雨なのか。
決して降り止まない雨が降る。
それでもなお、お前の傍にいたいと願う、自分。
きっと離れることなんてできないから。

「・・・バカ。」

一体誰にむけた台詞なのか。

雨が降っている。
ざぁざぁと煩い雨が降っている。
まだ当分、やみそうにない。














*****
珍しくシリアスです・・・。苦手なくせに。
幸村はサスケに猿飛のこと聞かれたら、そのことについて嘘はつけないのではないかと思います。
やはり初めはサスケのことを身代わりにしていたのかな。幸村は。
でないと猿飛の名を与えたりしないのではないかと・・・。
でもそれは初めだけで、今はサスケを見ているんだと思います。
だけど、猿飛のことになると幸村は物凄く不器用になるから、そのことをサスケに上手く言えない。
だからサスケも考えこんでしまうし、二人でから回ってそうです。
ううん複雑。







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