<幸サス>

「サスケ、ご褒美をちょーだい?」

九度山の屋敷に帰る途中の道。

胡散臭い笑顔を顔に貼り付けた幸村。

「は?何言ってんの?お前。」

サスケはいぶかしげに男を見返した。

「今日はボク、物凄く頑張ったんだよ。」

「・・・何を?」

「うん。とにかく凄く頑張ったの。」

「だから何を?」

要領を得ない幸村の話に少しイライラしながらサスケは同じ質問
を繰り返す。

「んーそうだな。サスケには言えないようなことを頑張ったんだ
よ。ものすごく、苦労したんだから。」

何だそれは。

「オレに言えないような事って何だよ?」

「秘密。」

幸村は口に指をあててウインクをする。

一体お前いくつだと思ってんだよ。

「それなら褒美なんてやれねぇな。」

「ひどいなあ。こんなに頑張っているのに。」

はあ、とわざとらしく幸村はため息をつく。

そんな寂しそうな顔をしたってもうだまされない。

「サスケのために頑張ったのに〜。」

「え?」

「それなら仕方ないから強制的にご褒美もらっちゃおうかな。」

「何を・・っ」

いきなり唇を頬に押し付けられる。

こいつっ!

「なっ、何すんだよ!?」

「ん?ご褒美v」

そんな無邪気な顔したってその腹は黒いことを知っているサスケ
はキッと幸村をにらみつけた。

「今日人がいるところで、こういうことしなかったご褒美、
ね?」


そういって言ってまた無邪気な笑顔をする幸村にくらくらする。

「ね?」

やはり満面笑顔の幸村にたまらなくなって歩く足を早める。

待ってといいながら追いかけてくる漢を無視して、サスケはただ
ただ体が熱くなっていくのを感じていた。


<小太サス>

ふわふわと柔らかい髪の毛に手を伸ばす。

綺麗な銀糸の髪の感触を味わいながら小太郎は微笑みを浮かべ
た。

自分の膝の上で眠る少年。

すやすやと心地よさそうに眠るサスケの姿を見ていると思わず頬
が緩んだ。

「んー」

目が覚めたのか、と、小太郎は慌ててサスケの髪に触れていた手を引っ込める。

「こたろー」
目が覚めたらしいサスケはまだ焦点の合わない目を小太郎に向け
た。

「な、なんだ?」

「きもちいいな、おまえ」

「へ?」

唐突にそんな言葉だけを残して、サスケは再び小太郎の膝へと頭
を乗せる。

「サスケ?」

寝てしまったのだろうか。

「オレの脚なんて堅くて気持ちはよくないだろ?」

言って頭を撫でてみても返事が返ってくることは無い。

代わりにどこか幸せそうに微笑んだ。



こんな堅い脚でよかったらいくらでも寝ていれば良い。

幸せそうに眠る少年に優しく笑んで、小太郎は起こさないように
気をつけながら背を伸ばした。

サスケの幸せそうな顔を眺める。

暖かい木漏れ日の中の幸せの時間。

代償は足の痺れだけなんて、お安いものだろう?






<小太サス←幸>

ちくりと痛む胸を押さえる。

初めて会った時には心細いほどに小さかった体も、未だ幼さは残
るものの随分と大きくなった。

太陽の光にすける銀糸の髪。

キラキラと輝くそれを眺めながら幸村は溜め息をついた。

小さな体いっぱいで喜びを表現するサスケ。

顔には満面の笑みが浮かべられていた。

出会ってから数年。

サスケのこんな表情は見たことがなかった。

「具合でも悪いのかよ?」

つい無表情になっていた幸村を心配げにのぞきこんでくる少年。

その言葉には労りの気持ちが込められていて。

「平気だよサスケ。ありがとう。」

安心させるようにやんわりとほほ笑む。

「なら・・いいけどよ。」

言ってサスケは照れたようにふいと顔を背けた。


わかっていたんだ。

その心に誰がいるのか。

お前がそんな顔をできるようになったのは誰のおかげなのか。


「サスケは小太郎が好きかい?」

唐突な質問にぱっと顔を赤らめたサスケに、気付かれぬよう苦く
笑う。

「なっ、何言ってんだよお前っ!!」

「あははっ赤くなってる〜!サスケは本当に可愛いな〜v」

時は流れる。

この子には自分しかいないのだと信じて疑わなかったあの頃。

そして、今。

なんて滑稽なんだろう。

「ねえ、サスケ?」

「・・なんだよ?」

「もしお前が望むのなら、小太郎と一緒に好きなように生きても
いいんだよ?」

「何、言ってんだよ?」

「無理にボクの元にいなくてもいいんだよ?」

声が掠れる。

そんなこと望んではいないけれど、言わなくてはいけないと思っ
た。

「サスケ・・」

「馬鹿じゃねーの?オレの居場所はお前の元だけだ。離れるつも
りなんかない。」

はっきりと言われた言葉に思わず目を見開く。

「オレはオレがいたいと思うからここにいる。

お前の側にいたいからいるんだ!

無理にいるわけじゃない!・・

急に何言い出すんだよ!」

心外だと怒るサスケを見て、体中が熱くなるのを感じた。

なんで、そんな言葉をくれるんだろう?

思わず泣きそうになって、顔を見られないようにその体を強く抱
き締めた。

「幸村っ!?」

「少しだけこのままでいさせて?」

その金色の目が誰を映そうと、関係ない。

大切なんだ。

この存在が。

「ありがとう」

温かい気持ちを、いつも。

わかっていたんだ。

お前の心には金色の髪の青年がいることを。

でも、いいのだ。

この想いが届くことがなくても、かまわな
い。

それでも自分はお前を愛し続けることをやめられはしないし、や
めるつもりもないのだから。







SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送